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凍結破砕装置 クライオプレス

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ユーザー訪問記

水生生物研究にも不可欠

水産庁中央水産研究所 生物生態部 初期生態研究室
塚本 洋一先生にお聞きしました

農学博士である先生の研究テーマは生物の個体発生機構の解明です。具体的には魚を対象にし、初期生活史における成長現象を明らかにするために各成長段階の魚の体内のDNA, RNA, 蛋白質を抽出します。クライオプレスにより粉砕された組織から抽出、分離されたRNAとDNAの比率を調べる事により、成長の活発な時代や停滞する時期がわかるのです。故に、目的物が分解されず正確な結果を得ることは大変重要なことです。

老化研究における役割

(財団法人)東京老人総合研究所 細胞化学部門
秋山 翹一先生にお聞きしました

分子老化学研究系細胞化学部門では、タンパク質や遺伝子のレベルでの細胞の老化機構について研究を行っています。研究内容の1つとして、PAD(ペプチジルアルギニンディミナーゼ)という酵素と、その生産物が老化とどんな関わりがあるのか調べています。

タンパク質は、約20種ほどのアミノ酸より作られますが、タンパク質の組成に関与していないアミノ酸も自然界には存在します。シトルリンがその一つです。シトルリンは通常タンパク質には取り込まれませんが、PADはタンパク質中のアルギリン残基をシトルリンに変換します。PADには、幾つの種類がありますが、皮膚に特異的に存在する酵素とその酵素の働きによってできる生産物が、老化に伴ってどのように変化するのか研究を行っています。

秋山先生は、マウスの胎児や、生まれて間もない新生児の皮膚を対象に研究を行っています。マウスの表皮をクライオプレスで破砕すると、表皮の凍結粉末が効率良く得られます。クライオプレスは使い勝手が良く、サンプル回収率の面からも、この研究室の方ばかりでなく最近は幾つかの研究室の方も借りに来られているとのことです。

科学捜査の手伝い

科学警察研究所 法医学第一研究室
松田 秀明技官にお聞きしました

法医第一研究室は、科警研発足当時からある研究室で、骨、歯、毛髪、皮膚などの人体組織並びに一般的生体組織に関する法医学的な研究とそれを応用した鑑定を行っています。中でも骨に関する研究や鑑定、具体的には、白骨からの性別、年齢などの推定と血液型検査及び該当者との個人識別は、この研究室の中心的な仕事であり、さらに最近では、DNA型検査を骨の個人識別に応用するための研究も進めているとのことです。

科警研に鑑定資料として送られてくる骨は、長期間、地上や土中、もしくは海中に放置されていたものが多いため、血液型検査をしたり、DNAを効率良く抽出するためには、できる限り細かく資料を粉砕する必要があります。そのため、これまではハンマーや ヤスリを使っていましたが、多くの時間がかかるわりには粉砕が不十分であったり、試料のロスも大きいなどの問題がありました。

また、DNA型検査ではコンタミ問題が重要で、その防止のため大変気を使っていたそうです。しかし、クライオプレスを使うようなってからは、これらの問題が一変に解決したとのことです。

抗癌剤の研究にも力を尽くし

慶応義塾大学薬学部薬理学教室
紅 江先生にお聞きしました

薬理学部では、新しい抗癌剤を開発を研究テーマとしており、紅江先生もこのプロジェクトに参加しています。

まず、健康状態のマウスと化学発癌を起こしたマウスの代謝酵素レベルと比べ、発癌に最も関連する酵素を見い出します。それから抗癌剤を与え、その代謝酵素レベルの変化を調べることにより、癌に対する抑制する機能を持っているかどうかわかると予想されます。皮膚癌をモデルにしたので、皮膚組織を破砕するため、クライオプレスの「力」を借りました。

製薬業でも必要

某大手製薬会社研究所の研究者にお聞きしました

人体の分泌腺体は内分泌腺(例えば甲状腺)と外分泌腺(例えば前立腺)があります。これらの内、外分泌腺は人体の健康に大変重要な役割を果たしています。特に、内分泌腺についてはまだ不明な点が多く、病気になった場合は有効な治療方法もなかなかないので、この社会的なニーズに応じ、各内分泌腺体の各々の病気に対する薬剤の研究もされています。

この研究所では前立腺の病気に薬の効き具合を検討するため、組織を破砕をしなければなりません。薬剤を与える前後に実験動物体内の蛋白質レベルを調べることによって、薬剤の効果がわかります。今までは他社製のホモジナイザーを使っていた時は、組織の中の繊維などの部分が破砕の際に刃の所に巻いてしまうので、十分には破砕ができない状況でした。クライオプレスで短時間で、組織を十分に粉砕でき、しかも液体窒素で冷やされ、蛋白質、酵素などの熱に弱いものが変性されない、という結果に大満足しておられました。

同様に、ある有名な化学工業会社の医学研究所では抗癌剤の研究が行われています。実験動物を用い、骨の腫瘍(骨肉腫)に対する抗癌剤を研究するために、骨を破砕し、RNAを抽出。その抽出されたRNAを解析することによる抗癌剤の効果を確かめています。

臨床診断の参考にも活躍

横浜市立大学附属病院皮膚科
杉田先生にお聞きしました

横浜市立大学附属病院 皮膚科の杉田先生は、クライオプレスを用い、皮膚に感染した微生物を見い出すことで皮膚病診断法の研究をしておられます。

手術から切除した病変皮膚組織をクライオプレスで破砕し、Proteinase, Phenol などで処理することにより、DNAを抽出します。抽出されたDNAは、患者のDNA及び皮膚に感染した微生物(感染している場合)の混合DNAです。その中から疑われた微生物のDNAだけをPCR (Polymerase Chain Reaction) 法で増幅し、増幅されれば感染したとわかります。このPCR法は少ないものを多くする方法ですので、元がないと増幅ができない訳です。この方法で感染された微生物の種類がわかり、治療には大変有益です。

残念ながら、DNA配列がまだ十分に知られていない病原菌は多いので、全ての感染症の診断に応用することは難しいのですが、病原菌のゲノミック研究の発展及びPCR法などの技術的な問題が解決されるに伴って、広く応用できるようになったら、より多くの患者が早く病気の苦痛から脱出できることでしょう。

動物細胞遺伝子の機能解析の一助として

東京大学医学部 第一生化学教室を訪ねました

東京大学医学部第一生化学教室では動物細胞遺伝子の機能を研究テーマの一つとしています。

動物細胞に代わる宿主として分裂酵母の変異株を用いて動物細胞遺伝子のスクリーニングを行っています。細胞の増殖や分化といった基本的な機能に関わる遺伝子は種を越えて保存されている可能性が高いため、数ある分裂酵母変異株の中でも特に細胞周期の変異株を宿主として、異種間遺伝子相補によって、得られた遺伝子を単離、解析しています。単離された遺伝子解析の一環として、宿主とした分裂酵母の中での発現の変化を追うこともあり、その際の酵母の破砕手段としてクライオプレスを使われているとのことです。

遺伝子産物の中でもプロテアーゼによる分解を受け易いものの場合は、回収時間の短縮と低温保持が重要です。しかし、分裂酵母の細胞壁は特に固く、その破砕には従来のガラスビーズ法では時間が掛かり回収率も良くありません。「様々な方法を検討された結果、液体窒素による凍結状態での粉砕というクライオプレスの特徴が非常に有効であるとのこと」と評価を頂きました。

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