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ホモジナイザー ヒスコトロン 使用事例

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マイクロバブルを利用したメタンハイドレートの生成について

ホモジナイザーを使った研究事例として、独立行政法人 産業技術総合研究所 メタンハイドレート研究センター様の研究発表「マイクロバブルを利用したメタンハイドレートの生成について」をご紹介します。

試験方法

ホモジナイザー改造によるマイクロバブル生成


図1 微細気泡発生装置: 透明容器内の部分がホモジナイザーを改造した撹拌器部分

 密度が異なる2つの物質を撹拌混合し乳化物を生成する場合など、ホモジナイザーは食品加工から理化学などの幅広い分野で製品化されて入手が容易であるため、本研究では高圧循環ポンプを使わずホモジナイザーの特徴を利用してマイクロバブルを生成することを検討した。また、MH生成のため圧力条件下でマイクロバブルを生成することも考え、圧力容器内に格納可能なサイズで、駆動用モーターと撹拌器が分離可能なミキサー型のホモジナイザーとしてマイクロテック社製ホモジナイザーを改造して図1に示す微細気泡発生装置を試作した。改造したホモジナイザーの撹拌器による気泡発生効果を調べるため、大気圧下でTHF(テトラヒドロフラン)水溶液A(温度278K、濃度0.1wt%未満)と水溶液B(温度274.1K、濃度1.5wt%)それぞれにキセノンガスを撹拌し、生成した微細な気泡(水溶液A)とXe・THF混合ハイドレート(水溶液B)の粒度分布を光学微粒子測定器により測定した。

試験結果および考察

マイクロバブルの生成


図3 改造ホモジナイザー撹拌器による微細気泡の生成
上: 気泡発生前
下:微細気泡の発生状況

 改造ホモジナイザー撹拌器に自然吸引させた空気の気泡発生状況を図3に示した。気泡発生前(写真上)に比べると発生中(写真下)には撹拌器のスリット部分から微細な気泡が周辺に噴出する様子が白い帯状に認められる。この撹拌器により生成された気泡の粒度分布について、THF水溶液とキセノンガスによる生成試験の結果を図4.1と図4.2に示した。蒸留水にTHFを微量添加したTHF水溶液A(濃度0.1wt%未満, 278K)では、気泡の発生のみでハイドレートは生成せず、図4.1に示す粒度分布の結果によれば、10um〜14um付近と38um〜50um付近の粒径が卓越しており、マイクロバブルが生成されている。THF水溶液B(濃度1.5wt%、274.1K)ではキセノンとTHFを混合したハイドレートが生成され、図4.2の粒度分布においても図4.1と同様、粒径10um〜14um付近にピークが存在し、30um〜38um付近の粒径も卓越している。このことから、水溶液Aのマイクロバブルと水溶液Bのハイドレートの粒度分布における、それぞれ卓越する粒径の分布傾向が同様であることが認められ、マイクロバブルの状態からハイドレートが生成されたものと推測される。同様な傾向はTakahashiらの実験結果においても認められており、循環ポンプと特殊ノズルによるマイクロバブルとハイドレート生成結果の比較により、微粒ハイドレート生成における改造ホモジナイザー撹拌器の有効性についても確かめられた。


図4.1 Xeマイクロバブル
 (THF水溶液A: 0.1wt%・278K):
 上:気泡発生状況
 下:粒度分布
図4.2 Xe/THF ハイドレート
 (THF水溶液B: 1.5wt%・274.1K):
 上:ハイドレート溶液
 下:粒度分布

引用

掲載雑誌:平成21年度 資源・素材2010 (福岡)秋季大会講演集

講演番号:A4-7 (P.111〜114)
        マイクロバブルを利用したメタンハイドレートの生成について

著者:桝井 明、高橋正好、清野文雄、宮崎晋行、天満則夫、緒方雄二


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