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ゼータ電位測定の応用

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水環境分野

排水基準等で定められている浮遊物質 (SS: Suspended Solids) には粘土粒子、プランクトン、有機物など様々な粒子が含まれています。ゼータ電位を指標とすると凝集・沈殿現象を定量的に扱え、浮遊物質の処理の効率化を図ることが可能になります。浮遊物質は種類によって静電的に異なる特徴を持ち、一方で原水、排水などの性質もそれぞれ異なります。

このように様々な条件下で凝集・沈殿処理を行うためには、適切な凝集剤の選定と投与量の検討が不可欠です。上下水道などの水処理施設でゼータ電位を指標とすることは、水質向上や効率化、コスト削減などに有効な手段と言えます。

ZEECOMは水環境分野での研究用ツールとして開発された経緯があり、このような用途には最適のゼータ電位測定装置です。

沈降、浮上する粒子の電気泳動を追跡できる。

粒径の大きな粒子は沈降を起こしやすく、ZEECOMではこのような粒子のX軸方向の動きのみを捉えることでゼータ電位を算出します。

マイクロオーダーの粒径の粒子を相対的に比較することができる。

透過光測定モードと粒径測定機能を用い、大まかな粒子サイズを測定することが可能です。
※コールターカウンターとの相関も報告されています。

超希薄溶液中の浮遊物質が測定できる。

統計的な解析は難しくなりますが、粒子が画面上にひとつでもあれば測定可能です。
水処理後の溶液に含まれる粒子など、極めて粒子数の少ないサンプルでも対応できます。

以下のアプリケーションノートは
千葉工業大学工学部 生命環境科学科 環境共生研究室の協力のもと作成されました。

ZEECOM ZC-3000 アプリケーションノート 水環境シリーズ

このアプリケーションノートでは水処理分野における標準的な試料であるカオリナイト(はくとう土)を分散させた人工原水に対して、凝集剤(硫酸ばん土)の添加し、ゼータ電位の変化を測定しました。そしてミクロンサイズの浮遊物質がフロック形成をしていく過程の観察と、ゼータ電位の変化から、凝集剤の最適投入量を実験的に検証しています。

ゼータ電位のような濁度測定とは異なる観点での計測は浮遊物質の除去検討に有用であると考えられます。そこでクリプトスポリジウム擬似粒子を使用したゼータ電位測定を行ない、ゼータ電位の浄水工程での有用性を検証しました。擬似粒子にはクリプトレーサー1号(水道技術研究センター)を使用しています。この粒子はクリプトスポリジウムの浄水工程での除去試験用に開発されたトレーサー粒子で、粒径、比重、ゼータ電位が実物と同等に調整されているものです。

クリプトスポリジウム(Cryptosporidium parvum)は塩素消毒に対する高い耐性があり、通常の塩素消毒では十分に不活化できないとされています。また病原性が極めて高く集団感染を引き起こすケースがあります。そのため「水道におけるクリプトスポリジウム等対策指針」(2007年厚労省)ではクリプトスポリジウム等による汚染のおそれの高い、またはおそれのある施設では、ろ過池出口の水の濁度を常に0.1度以下に維持できるろ過施設の整備が求められています。また、このような予防対策が必要な施設は6,045ヶ所あるとの調査結果が出ています(「クリプトスポリジウム対策実施状況調査」2007年厚労省)。

※ アプリケーションノートをご希望の方は御問合わせ下さい。


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