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三つのホモジナイザー ヒスコトロン・クライオプレス・スマートの比較 (2)
2009年1月
新しい年を迎えても、素直に「おめでとうございます。」と言える気分ではない様に感じる。
昨年の米国に於けるサブプライムローン問題に端を発した金融危機は、津波のように瞬く間に世界経済を揺るがせ、そして何度か繰り返し寄せる余波は日本に円高となって襲い、世界経済の縮小に加えて円高のダブルパンチで、製造業を中心に先の予測が大変厳しい経済環境に陥っている。
しかし、我々は大嵐の中の小舟に過ぎないが、目標を見失うことなく希望と確信を持って今日を乗り越え明日に進む決意である。
さて前回は、我が社の技術の一つであるホモジナイザーについて一考したので、今回は凍結破砕法の「クライオプレス」についてご紹介し、皆様と一緒に考えてみたい。
クライオプレスの原理は極めて単純明瞭で、ステンレス製の容器を予め液体窒素で冷やし、その容器の中に試料を入れ凍結させ瞬時に叩き潰す。試料は容器の中で凍ったまま粉末状態になる。更に液体窒素を加えると、破砕された試料は凍結した粉の塊りでほぼ100%回収できる。
従来のホモジナイザーでは出来なかったり回収率が少なかった試料の破砕が、極めて簡単にできるようになった。例えば筋肉や神経や皮膚、歯や骨や毛髪、酵母や大腸菌などがある。
その他にも、ホモジナイザーで破砕処理をする前に、例えば臓器などの大きな塊の試料を、ホモジナイザーで破砕しやすい大きさまで事前にクライオプレスで粗砕する例もある。
クライオプレスは、従来のホモジナイザーでは破砕しにくい試料を破砕するだけでなく、試料を凍結したまま破砕できるので、熱変性しやすい酵素などの抽出に最も適した方法と言える。
歯や骨や毛髪が出来ることから、法医学の研究室或いは科学捜査研究所でも多く利用されている。あるユーザーからの紹介で、フジテレビの事件ものドラマ番組にクライオプレスと弊社社員の手が出演?した。鈴木京香、深田恭子、柳葉敏郎さん達が事件を解明する科学捜査官役となり、残された歯からその人物を特定する手段としてDNA鑑定が行われることになり、その前処理としてクライオプレスで歯を砕く様子が映し出された。また別の放送局でも、1万年前?の古代人の骨からDNAを取り出す方法として、人類学の先生からクライオプレスが紹介された。
酵母などの硬膜細胞の破砕は、ビーズ等を使わず試料のみで破砕できる方法としてフレンチプレスが使われてきたが、クライオプレスでも微生物の破砕が行われ文献も発表されている。高価なフレンチプレスに代わる装置として紹介したい。
また、少しの抽出液を試料に加えて凍結させ一緒に粉末状にする方法も一考出来るであろう。
もう少し詳しくクライオプレスの機種や使い方等を説明させて頂きたい。装置の機種としては3機種。ハンマーを持ち容器を叩くハンマー式。低い圧縮空気で連続的に叩くエアープレス式(標準タイプ)。そして高い圧力で叩くエアープレス式(強力タイプ)があり、試料容器(セルと呼んでいる) は3つの装置とも共通である。標準セルは大中小3種類あり、処理容量はそれぞれmax 5ml, 3ml, 1mlで、少量の方が破砕しやすい。その他にも大きいサイズや形状の異なるセルも特注に対応している。
セルは内セルと蓋がペアーになっており、共通ベースの上に上下ペアーで載せられて使うので、試料を入れる前に3つをセットし、付属のフック棒を使い液体窒素の中に約5分間沸騰が収まるまで入れておき、その後フック棒でつまみ出し、手袋を着けて蓋を取り、内セルの中に試料を入れ更に液体窒素を試料にかけ完全に凍結させる。その後、共通ベースごと装置にセットし、レバーを下げエアーハンマーが容器の蓋に当たると自動的にハンマーが圧縮空気の力で上下振動となりセルを叩く。
今まで標準セルでは出来ない要望に対し特製のセルを造ったり、本体の叩き方を変えたりして新たな物を試みている。それは、ユーザーである皆様からの要望を聞くことから始まった。我社はメーカーなので、更に多くの方の要望や意見を聞いて集約し機器開発を行いたい。
本ニュースをお読み頂いている皆様からも、弊社ホームページを通して皆様のご要望・ご意見をお聴かせ頂ければ誠に幸いである。
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