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三つのホモジナイザー ヒスコトロン・クライオプレス・スマートの比較 (3)

2009年2月

 弊社の社名の一部に“オン”という文字があるが、先にも紹介していると思うが、これは“音”に関わることから付けられた名前である。父が若くして独立し始めた事業が、耳鼻咽喉科で使われる医療器具の製造で、その中でも難聴検査などに使われる音叉の製造に携わり、その後学校教材用の音叉・音楽調音用の音叉や自動車のスピード計測(ねずみ取り)用の校正器としての音叉などに広がっていった。(その他にも最近では癒し系の道具としても使われているようである。)その過程で「日本音叉研究所」という未登録ではあるが事業に相応しい愛称を用いた。これがニチオンの由来である。

 私は楽器も弾けず歌は苦手であるが、音に興味を持ち、「音と光の波長の相関性について」学び解明したいと学びだしたことがあるが手を付けた程度で終わった。ノーベル化学賞を受賞された下村脩先生は、ご自分の長い研究体験から、楽をして研究成果を上げることはあり得ないと、若い学生に語ったが、道を見つけるためにあらゆる方法に取り組んだ先生の努力と言い、また一つの道を見つけた先生が先に見えぬ物を捜す信念(執念)と言い、下村先生の足下には近寄れない。


 さて、弊社の新しいホモジナイザーは、超音波ホモジナイザー「スマート」である。超音波は人の耳には聞こえない音域、或いは聞こえても耳障りな高い音域で、非常に高いエネルギーを持った音と言える。超音波の利用法は沢山あるが、このエネルギーで物の表面に付着している汚れを落としたり、樹脂などの薄膜を溶着する(ウエルダー)ことなどに多く用いられている。

 理化学機器の分野では、乳化・分散或いは細胞破砕などにも使われている。超音波振動子に繋げられたホーン(更にその先にチップを付け細くする場合がある)からの放射作用により、超音波エネルギーが液体の中で集中し強いキャビテーション(空洞現象)を生じ、溶液中の分子や細胞を激しく振動し乳化・分散・細胞破砕等が出来る。しかし、そのエネルギーは熱ともなり溶液全体が処理時間と共に熱くなってくるので、生物を超音波ホモジナイザーで処理する場合は特に注意が必要である。

 弊社の超音波ホモジナイザーは出力を抑え、少容量の試料を対象とした物で、先端のチップはφ2mm・φ3mm・φ6mmと3種類準備しているので、必要に応じて選ぶ事が出来る。また、特注の付属品や高出力の超音波ホモジナイザーにも対応しているので何なりと御要望をお聴かせいただければ有難い。

 以上簡単ではあるが、超音波ホモジナイザーを紹介し、3つのホモジナイザー(高速回転式のヒスコトロン・凍結破砕のクライオプレスそして超音波式のスマート)の簡単な比較表を作ったので作業の目的に応じて選んで頂きたい。

方式 特徴・効果 試料例 発熱 洗浄
高速回転式
ヒスコトロン
破砕・分散・
乳化・反応
動植物の組織(籾殻付き生麦)・ セラミックス凝集塊・微生物凝集塊・化学薬品や素材 少ない 少し手間
凍結破砕式
クライオプレス
凍結破砕 骨・皮膚・爪・
神経・微生物
ない
(氷点下破砕)
容易
超音波式
スマート
乳化・分散・破砕 微生物・細胞・化学薬品や素材 多い 容易

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